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単独親権から共同親権へ・養育費制度の改正について
単独親権から共同親権へ・養育費制度の改正について
1. 単独親権から共同親権へ
これまで日本では、離婚後の親権は「父か母のどちらか一方」が持つ単独親権が原則でした。しかし、近年の家族の在り方や国際的な動向を踏まえ、**離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」**が選べるよう法改正がなされました。
これにより、
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子どもの進学や医療など重要な決定を父母が協議して行える
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子どもと両親の関係を維持しやすくなる
といった利点があります。
一方で、両親の対立が激しい場合は、子どもの利益を第一に、裁判所が単独親権を選択することも可能です。つまり、「子どもの最善の利益」を軸に、より柔軟な親権制度になったといえます。
2. 法定養育費と養育費差押えのワンストップ化
離婚後に問題となりやすいのが養育費の不払いです。これに対応するため、次の制度改正が行われました。
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法定養育費制度
国が養育費の「標準額」を定め、目安として示すことで、養育費の算定がスムーズになります。1人当たり毎月2万円になるようです。 -
養育費の差押えワンストップ化
養育費の支払いが滞った場合、これまでは差押えの手続きが複雑でした。今後は、家庭裁判所の手続きと金融機関への差押え請求が一元化され、より簡単に権利行使ができる仕組みとなります。
これにより、養育費の確保がしやすくなり、ひとり親家庭の経済的な安定に大きな意味を持つことになります。
まとめ
今回の法改正は、
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共同親権の導入により「子どもの利益を第一に」両親が協力できる仕組みを整備
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養育費制度の強化により、子どもの生活を安定させる仕組みを確立
という点で、子どもを中心とした家族法制への転換点となります。
👉 弁護士としての視点から加えると、今後は「親同士の合意形成」がますます重要になります。離婚時の協議書や調停調書での取り決めを丁寧に整えることが、トラブル防止のカギになるでしょう。